■ 太陽光発電: 自動追従システム再考(3) ~ 2方式の逆転 ~ (JavaScript版)

 発電パネルを太陽の方向に自動追従(追尾)させる次の2方式の発電量をパネル固定方式と比較して表示するアプリを以前紹介しました(ここで再掲)。

(1)水平面内自動追従方式 (水平面内旋回のみ、首振りなし)
    パネルの方位角のみを太陽の方向に追従させる。
(2)完全自動追従方式    (水平面内旋回 + 上下首振り)
    パネルの傾斜角、方位角を太陽の方向に追従させる(パネル面 ⊥ 太陽光)。

 一般に(2)の完全自動追従方式の方が(1)の水平面内自動追従方式より発電量が多くなりますが、1日単位で見るとまれに両者の大小が逆転することがあります。

 太陽光発電システムの発電量を推定するためには、傾斜面が受ける日射量「斜面日射量」を知る必要がありますが、本アプリでは水平面全天日射量の観測値からErbsモデルにより斜面日射量を推定します。 発電量は斜面日射量に比例するので、斜面日射量の比が発電量の比となります。

 さて、次のアプリで(広島、2013年)1月1日から順に2つの追従方式の斜面日射量:
  Erbs1: 水平面自動追従方式による斜面日射量
  Erbs2: 完全自動追従方式による斜面日射量

の日合計(表の右側のΣ値)を見ていくと、通常は Erbs1 < Erbs2 ですが、13日や21日は逆に Erbs1 > Erbs2 となっています。

 13日、21日は1日の日射量が比較的少なく、このような場合には斜面日射量に占める散乱成分が直達成分より支配的となって、必ずしもパネル面を太陽光線に直交する方向に向けることが最適とはならないからです。 また、斜面日射量を斜面直達日射量、斜面反射日射量、斜面散乱日射量の3成分に分解したとき、直達日射量は太陽光のパネルへの入射角のcosに比例するのに対して、反射及び散乱日射量はパネルの傾斜角のcosに関係することからも単純ではないことが分かります。

 しかし、月間、年間で考えると完全自動追従方式の方が水平面内自動追従方式よりも確実に発電量が多くなります。

< 対象地点 >
  次の15府県を除く32の都道府県庁所在地。
   茨城県、千葉県、埼玉県、神奈川県、石川県、岐阜県、滋賀県、三重県
   京都府、和歌山県、兵庫県、岡山県、鳥取県、山口県、徳島県

< 対象期間 >
  2013年1月 ~ 12月

< 使い方の説明 >
 ・地点、月日、屋根傾斜角、方位角を指定する。
   方位は真南が0度、東が-90度、西が+90度。
 ・「計算&グラフ描画」ボタンを押すと、各時間毎の斜面日射量が計算され、表示される。
   固定方式に対する追従方式の1日の日射量比(=発電量比)が最後に表示される。

地 点 :   月 日 :    
屋根傾斜角 :(度、0~90)   方 位 角 :(度、-180~180)

日射量単位: kWh/m2/日   MJ/m2/日
  
太陽高度角、方位角、入射角のグラフ表示
 (注0) Erbs0: 固定方式、 Erbs1: 水平面内追従方式、 Erbs2: 完全追従方式 の各斜面日射量。
 (注1) グラフ中の日射量の色は表中の色と対応する。
 (注2) 表中の全天、Erbs、斜全の文字をクリックすると個別にグラフ表示On/Off可能。
 (注3) 高度角、方位角、入射角は4時30分、5時30分、...、19時30分での値である。
 (注4) グラフでの太陽方位角は東:-90度、南:0度、西:+90度としている(再考(0)の計算式による値-180度)。
自動追従システム再考 (0) ~ 概要と基本計算式 ~

気象庁:広島 2013年1月1日 1時間毎の値
 (注)気象庁HPでは例えば8時の値は8時までの1Hの値であるので、上記アプリの7時台に対応する。

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