■ 水の蒸発量を算出するアプリ(機能拡張版)(JavaScript版)
コップやバケツ、プールなどの水の蒸発量が温度、湿度によってどのように変化するかを示します。
これにより、大まかな値を知ることができます。
拡張版では横軸に温度以外の値(気圧、風速、代表長さ)も指定することが可能です。
(注)「代表長さ」は水面の幅を指定します。
■ 主な計算式
水の蒸発現象は科学的にとらえると流れと拡散の複合現象であり、さらに実際にはこれに伝熱現象も関わります。 本アプリでは下記計算式に基づいて、単位時間当たりの蒸発量を算出します。
●飽和水蒸気量: a(t)
飽和水蒸気量とは1m3の空気中に存在できる水蒸気の質量(g)で、温度とともに増加します。
温度 t℃ における飽和水蒸気量 a(t) は次式で与えられます。
a(t) = 217・e(t) / (t + 273.15)
ここで、e(t) は飽和水蒸気圧(hPa)であり、その近似値を求める式には以下のようなものがあります。
(1)Tetens(テテンス)の式
e(t) = 6.1078 x 10^[ 7.5t / (t + 237.3)]
(2)Wagner(ワグナー)の式 ・・・ より近似度が高い
e(t) = Pc・exp[ (A・x + B・x^1.5 + C・x^3 + D・x^6) / (1 - x) ]
ここで、
Pc = 221200 [hPa]: 臨界圧
Tc = 647.3 [K]: 臨界温度
x = 1 - (t + 273.15) / Tc
A = -7.76451
B = 1.45838
C = -2.7758
D = -1.23303
●空気の粘性係数: μ(kg/m/s)
粘性係数(粘度)は物質の粘りの度合いを示します。
ここでは、Sutherland(サザーランド)の式を使用しています。
μ = μo・(a/b)・(T/To)^(3/2)
a = 0.555To + Cs
b = 0.555T + Cs
ここで、
μo: 基準温度Toでの粘性係数
T: 温度(Rankine[ランキン]度 = 絶対温度 x 9/5)
To: 基準温度(Rankine度)
Cs: Sutherland定数
空気の場合、
To = 20℃ ->(20 + 273.15)x 9/5 = 527.67
μo = 17.9 x 10^(-6)
Cs = 120
●空気の密度: ρ(kg/m3)
気体の状態方程式より、密度は下記式で与えられます。
ρ = p・M / R / (t + 273.15)
ここで、
p: 気圧(Pa)
M: 空気の平均モル質量( = 28.966/1000 kg/mol)
R: モル気体定数( = 8.314 J/K/mol)
t: 温度(℃)
●水蒸気の拡散係数: D(m2/s)
ヒートテック(株)のHPに記載の下記式を使用しています。
D = 0.241 x 10^(-4)・((t + 273.15)/288)^1.75・po/pt
ここで、
t : 温度(℃)
po: 標準気圧( = 1013.25hPa)
p : 気圧(hPa)
●Reynolds number(レイノルズ数): Re
流体力学において慣性力と粘性力との比で定義される無次元量。
Re = ρv L / μ
ここで、
ρ: 密度(kg/m3)
v: 物体の流れに対する相対的な平均速度(m/s)
L : 代表長さ(流体の流れた距離など)(m)
μ: 流体の粘性係数(kg/m/s)
●Schmidt number(シュミット数): Sc
流体の動粘度と拡散係数の比を表す無次元数。
Sc = ν / D = μ / (ρD)
ここで、
ν: 動粘度(動粘性係数)= μ/ρ (m2/s)
ρ: 密度(kg/m3)
D: 拡散係数(m2/s)
●Sherwood number(シャーウッド数): Sh
物質移動操作に現れる無次元量。
Sh = 0.332・Re^(1/2)・Sc^(1/3)
ここで、
Re: Reynolds number
Sc: Schmidt number
●水の蒸発量: Va
単位表面積、単位時間当たりの蒸発量Va(kg/m2/s)は
Va = Sh・D・(c1-c2) / L
ここで、
c1: 水面の飽和水蒸気量(kg/m3)
c2: 空気中の水蒸気量(kg/m3)
Sh, D, L: 前述のとおり
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