■ 太陽光発電: 斜面日射量の推定プログラム(Erbsモデル) (JavaScriptによる簡易版)

 太陽光発電システムの発電量を予測するためには、傾斜面が受ける日射量「斜面日射量」を知る必要があります。

 ここでは、水平面全天日射量からErbsモデルにより斜面日射量を推定する計算プログラムを紹介します。
 Erbsモデルでは1時間毎の日射量積算値などから時間毎および1日の斜面日射量を推定(計算)します。
  (計算式は 後述

 < 対象地点 >
  次の15府県を除く32の都道府県庁所在地(下の地図上の表示地点)。
   茨城県、千葉県、埼玉県、神奈川県、石川県、岐阜県、滋賀県、三重県
   京都府、和歌山県、兵庫県、岡山県、鳥取県、山口県、徳島県

 < 使い方の説明 >
 ・地点、月日、屋根傾斜角、方位角を指定する。
   方位は真南が0度、東が-90度、西が+90度。
 ・4時台~19時台の全天日射量(単位:kWh/m2 または MJ/m2)を入力する。
 ・「計算&グラフ描画」ボタンを押すと、各時間毎の斜面日射量が計算され、表示される。
 ・2013年1月~12月の実際の全天日射量に対する斜面日射量と共に表示される。

地 点 :   月 日 :    
屋根傾斜角 :(度、0~90)   方 位 角 :(度、-180~180)

日射量単位: kWh/m2/日   MJ/m2/日
全天日射量/H のユーザ入力:    
時台45678910111213141516171819
全天
   従来法による斜面日射量(斜全)も表示
太陽高度角、方位角、入射角表示(グラフのみ)
 (注1)グラフ中の日射量の色は表中の色と対応する
 (注2)表中の全天、Erbs、斜全の文字をクリックすると個別にグラフ表示On/Off可能。
 (注3)高度角、方位角、入射角は4時30分、5時30分、...、19時30分での値である。
 (注4)グラフでの太陽方位角は東:-90度、南:0度、西:+90度としている(下記計算式による値-180度)。
Erbs モデルによる斜面日射量の計算式

  ● 記号
 H : 水平面全天日射量
 Hb : 水平面直達日射量
 Hd : 水平面散乱日射量
 H0 : 大気外水平面日射量
 α : 太陽高度角
 θa : パネルの傾斜角
 θz : 天頂角 (=90°- α)
 θ : パネルへの入射角
 p : アルベド(地表の反射率=0.2、入射光エネルギに対する反射光エネルギの比)
  ● 大気外水平面日射量: H0
 地球の大気圏外で受け取る太陽からの輻射エネルギー:1.367kW/m2(太陽定数)の水平面成分:
  H0 = 1.367 (r'/r)^2 sin(α)   (注)^ : べき乗を示す。
  r/r' = 1/[ 1.000110 + 0.034221cos(ωJ) + 0.001280sin(ωJ) + 0.000719cos(2ωJ) + 0.000077sin(2ωJ)]^0.5
 ここで、ω = 2π/365、J: 元日からの通算日数 + 0.5

 ・太陽と地球の平均距離:1.496×108km
 ・太陽光は大気を通過中に散乱や吸収を受けるので大気圏外の値よりも地表面に届く光は弱くなる。
  この減衰量は大気の状態や太陽光の波長によって大きく影響を受ける。
  ● 直散分離
 水平面全天日射量を直達成分(水平面直達日射量)と散乱成分(水平面散乱日射量)に分離する。
  H = Hb + Hd

 ・H/H0 < 0.22 のとき
   Hd/H = 1.0 - 0.09(H/H0)
 ・0.22 < H/H0 ≦ 0.80 のとき
   Hd/H = 0.9511 - 0.1604(H/H0) + 4.388(H/H0)^2 - 16.638(H/H0)^3 + 12.366(H/H0)^4
 ・H/H0 > 0.80 のとき
   Hd/H = 0.165
  ● 斜面日射量(時間積算斜面日射量)の計算
・斜面直達日射量(直接法モデル)
  hb = Hb x cosθ/cosθz
・斜面反射日射量(均一反射モデル)
  hr = H x p x (1 - cosθa) / 2
・斜面散乱日射量(等方性モデル)
  hd = Hd x (1 + cosθa) / 2

斜面日射量はこれらの和で
  h = hb + hr + hd
これを、1日にわたって合計する。
  ● 太陽の高度角
太陽赤緯: δ(太陽光線と地球の赤道面との角度、±23°27'の範囲で変化) [単位: 度]
  δ = 0.33281 - 22.984 cos(ωJ ) - 0.34990 cos(2ωJ ) - 0.13980cos(3ωJ )
           + 3.7872 sin(ωJ ) + 0.03250 sin(2ωJ ) + 0.07187 sin(3ωJ )
  ここで、
    ω = 2π/365、閏年は ω = 2π/366、J: 元日からの通算日数 + 0.5
   (本プログラムでは閏年は考慮していない)

均時差: e(天球上を一定な速さで動くと考えた平均太陽と、実際の太陽との移動の差、17分未満) [単位: 時間]
  e = 0.0072 cos(ωJ ) - 0.0528 cos(2ωJ ) - 0.0012 cos(3ωJ )
    - 0.1229 sin(ωJ ) - 0.1565 sin(2ωJ ) - 0.0041 sin(3ωJ )

時角: t [単位: 時間]
  T = Ts + (θ - 135)/15 + e
  t = 15T - 180
  ここで、
   Ts: 時刻(中央標準時)
   θ: 東経
   φ: 北緯

高度(仰角): α
  α = asin(sin(φ)sin(δ) + cos(φ)cos(δ)cos(t))

方位角: A(北 = 0, 東 = 90, 南 = 180, 西 = 270°)
  sinA = cos(δ)sin(t)/cos(α)
  cosA = (sin(α)sin(φ) - sin(δ))/cos(α)/cos(φ)
  A = atan2(sinA, cosA) + π

日の出時刻: t1 [単位: 時]
日の入時刻: t2 [単位: 時]
  t = acos(-tan(δ)tan(φ))
  T1 = (-t + 180)/15
  t1 = T1 - (θ - 135)/15 - e

  T2 = ( t + 180)/15
  t2 = T2 - (θ - 135)/15 - e

南中時刻: tm(太陽が真南に来る時刻) [単位: 時]
  tm = (t1 + t2)/2
  or
  tm = 12 - (θ - 135)/15 - e
 均時差 e の値がプラスの場合には南中時刻が平均より早く、値がマイナスの場合には平均より遅くなります。

(注)Erbs モデルは D.G.Erbsらが1982年、下記で発表した計算モデル。
  Erbs, D.G., S.A.Klein, J.A.Duffie:
    Estimation of the Diffuse Radiation Fraction for Hourly, Daily and Monthly Average Global Radiation, Solar Energy, Vol.28, No.4, pp.293-302 (1982).
気象庁:広島 2013年1月1日 1時間毎の値
 (注)気象庁HPでは例えば8時の値は8時までの1Hの値であるので、上記アプリの7時台に対応する。
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