■ 所得分布(6): 等価可処分所得とは

 相対的貧困率とは下図のように所得を世帯人数に振り分けて高さ順に並べたときに真ん中の所得(中央値 = メジアン、2007年で254万円)を基準に、その半分(127万円)に満たない人が占める割合を示すものです(OECDの定義)。

 すなわち、所得がメジアン=254の1/2である127未満の人々の割合であり、図中の緑色で色付けした領域の全体に対する比率(%)が相対的貧困率になります。

 ところで、この「所得」とは厳密には等価可処分所得(世帯の可処分所得を世帯員数の平方根で割った値)のことです。

 可処分所得とは家計収入から税金や社会保険料などの非消費支出を差し引いたものです。
   可処分所得 = 家計収入 - 非消費支出 = 消費支出 + 貯蓄
   家計収入 = 非消費支出 + 消費支出 + 貯蓄

 この可処分所得をもとに、世帯員の生活水準を表すよう調整したものが等価可処分所得です。 一番単純な方法は世帯員数で割ることですが、これでは次の2世帯:
 ・可処分所得 600万円の2人世帯 -> 600/2 = 300万円
 ・可処分所得 300万円の1人世帯 -> 300/1 = 300万円
で1人当たりの所得は同じ値になります。 しかし、実際には前者の2人世帯の方が豊かな生活を送っているように思われます。

 そこで、世帯員の生活水準をより実感覚に近い状態で判断するために、家計の可処分所得を世帯員数の平方根で割ったものが使用されます。 これが等価可処分所得です。

 可処分所得 600万円の場合の等価可処分所得は次のようになります。
  ・1人世帯 -> 600 / √1 = 600
  ・2人世帯 -> 600 / √2 = 424
  ・3人世帯 -> 600 / √3 = 346
  ・4人世帯 -> 600 / √4 = 250

 可処分所得500万円の2人世帯は可処分所得354万円の単身世帯と同じ生活水準ということになります。



 (注)2012年の相対的貧困率は16.1%、所得のメジアンは244万円、その1/2は122万円である。
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