■音律と音階の科学(11): 3つの音の重ね合わせ と
missing fundamental(JavaScript版)
「音律と音階の科学」の中の「聴覚の錯覚 ― うなり」の項で扱っている音の重ね合わせによる波形についての話題の中から、今回は周波数の異なる3つの音(ともに正弦波で、振幅は同じ)を重ね合わせた結果を表示するアプリを紹介します。
・音1、2、3の周波数(Hz)を小さい方から順に指定します。
・「計算&表示」ボタンを押すと、重ね合わせた結果を表示します。
・「包絡線描画」のチェックをオンにすると、合成された波形の包絡線も表示します。
3音の周波数(f1, f2, f3)が等差数列的に増加する時、即ち f2 - f1 = f3 - f2 の時に、合成波の周波数がその公差|f2-f1|となる様子が確認できます。 例えば、f1 = 100, f2 = 200, f3 = 300(Hz)の時、f2 - f1 = 100(Hz)の音が感じられます。 この 100Hz を missing fundamental、つまり「存在しない基本波」と言います。
[ 計算式 ]
・3音の波形を次式で表します。
y1 = sin(ω2 - α)t
y2 = sinω2t
y3 = sin(ω2 + α)t
ここで、
ω2 = 2πf2, α = 2π(f2-f1) = 2π(f3-f2)
・すると合成した波形は、
y = y1 + y2 + y3
= sinω2t・[2cosαt + 1]
となり、角振動数 α(周波数(f2-f1))の音が感じられます。
[参考文献]小方厚著「音律と音階の科学」(講談社発行)
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